【60代男性】それはないだろ
いよいよ自分も母親の介護をする時がやってきた。
病気あけの妻と、受験を控えている子供に面倒をかけたくなかった自分は、自宅の近くに安くて古い物件を購入し、そこに母親を引き取り、自分で看ていこうと思った。
昼間は会社に行き、夜は、自宅に帰ってから母親の元へ行き、そこで寝泊まりをした。最期は、病院じゃなくて、自分のもとで。といった自分の考えだったが現実は、そう甘くはなかった。
合理的にものを考える自分であっても、自宅と母親のいる場所を行ったりきたり、正直きつかった。
ある夜、母親をトイレに抱きかかえて連れて行くとき、「助けてー殺されるー」と叫ばれた。
僕は心が壊れてしまうようだった。
それでも大切な母親だった。