【20代女性】暴力をふるう者は弱い

 10代で、初めて男のひとを知った。

 初めは優しくて、洋服を買ってくれたり、ドライブに連れて行ってくれたり、その彼に全て身を任せて、ついていった。

 ある言い争いの時、顔を殴られた。蹴られた。怒鳴られた。

 車の助手席に乗っている時も、赤信号で止まった際に、胸ぐらをつかまれて顔を殴られた。

 それを見ていた通行人が、近寄ってきて覗き込んだ。助けてくれると、期待をしたけど、車が走り出した。

 どうしても逃げ出したかった私は、彼の上司に宛てて手紙を書いて届けて、遠い所へ逃げた。

 後から知った話では、「アイツがいないと生きていけない」と泣いていたそうだ。

 男は怖い。というレッテルが剝がれて、ずい分と逞しい女に生まれ変わっている。